【脆弱性評価の新手法整備】
防災やデジタルなどの有識者で構成し、内閣府と内閣官房が事務局を担当した5つのチーム、ワーキンググループ(WG)は、「防災・減災、国土強靱化新時代の実現のための提言」をまとめた。都市空間をデジタル上に再現して被災や防災対応をシミュレーションする防災デジタルツインの構築、国土強靱化基本計画の見直しに向けて地域ごとの強みと弱みを見える化する新たな脆弱(ぜいじゃく)性評価の手法整備などを政策の方向性に打ち出している。
【総合設計事務所 8割の高水準/指針改善へモデル事業継続】
国土交通省は、建築BIM推進会議に参画する13団体の会員企業を対象として、1月に実施したBIM活用・普及状況に関する実態調査の結果をまとめた。4割がBIMを導入しており、総合設計事務所は8割と高い水準になっている。施工関係企業の導入率は5割程度だった。国交省は、同会議が2019年度にまとめたガイドラインの改善に向け、20年度に始めた建築BIMのモデル事業を21年度も実施する。
buildingSMART Japan(bSJ、山下純一代表理事)は、国内の建築構造分野のソフトウェア間のデータ連携と情報共有への利用を目的に開発された標準データ形式「ST-Bridge」の最新版を一般公開した。最新版の公開に合わせ、これまでbSJで検討を重ねてきたST-Bridgeに計算編を追加し、従来のジオメトリー情報に加え、構造解析パラメーターとの連携が可能となった。
資源エネルギー庁は、2050年カーボンニュートラルを見据えたエネルギー基本計画の見直しに当たり、省エネルギー対策を深掘りするための制度的対応について、方向性の案をまとめた。民生部門は、ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の普及拡大と、既存住宅の断熱改修推進に向け、建築物省エネ法の規制強化などに取り組む。
大林組とトランスコスモス(東京都渋谷区、奥田昌孝社長兼COO)、応用技術は、BIMモデリングの進展度(LOD)を管理できる「SmartBIMConnection」を開発した。5月10日からトライアル利用の受け付けを始め、9月1日から販売する。
BIMを設計から生産設計、施工管理まで一貫して利用するためには、関係者全員が1つのBIMモデルをつくり上げ、常に最新のモデル情報を共有・活用するワンモデルの仕組みづくりが重要になる。
施工管理情報の記録を容易にする。
ゼンリンは、3D地図をオンラインで提供する「ゼンリン 3D地図データオンライン提供サービス」に、BIM/CIM向けの新機能を追加した。航空写真貼付やオブジェクト編集、マテリアル編集が可能になった。
3D地図データオンライン提供サービスは、3D地図データの必要な範囲と仕様を指定するだけで、利用するソフトに最適なフォーマットでダウンロードできる。
セイコーウェーブ(東京都三鷹市)は、建設現場向けポータブル3次元計測装置「3DSL Rhino-01・Rhino-02」に自動3次元画像合成機能を追加した=写真。
日本における供用適正化検査のパイオニアである同社は、社会インフラの維持管理の現場における非破壊検査の需要の高まりを受け、近接目視代替用光3次元測定器となる同製品の機能を向上させた。
【先端技術の活用を支援】
大成建設は、建設現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる仕組みとして「T-BasisX」を構築した。現場に安定的な通信環境をつくり出すことで、ロボットなどの先端技術を効果的に活用できる点が特長となる。地下階や高層階などインターネットの利用が困難なケースもある建築現場をターゲットにデジタル革新を推し進めることが狙い。 インフォキューブLAFLA(田中健吾社長)、PicoCELA(古川浩社長)、西尾レントオールの協力によって構築・運用する。
大林組は、MR(複合現実)技術を活用し設計情報確認や検査記録作成などの施工管理業務を効率化するアプリケーション「holonica(ホロニカ)」を開発した。BIMデータが持つ3次元の形状や部材単位での寸法や部材符号、仕上げ方法などすべての属性情報をMR技術で実際の施工場所に重ね合わせて表示することで、設計への理解を視覚的に支援し、デジタル空間内の該当個所への施工管理情報の記録を容易にする。
清水建設は、同社が設計施工を進める三愛会総合病院(埼玉県三郷市)の建設工事を対象に、指定確認検査機関である日本建築センターと連携して構築した「BIMデータによる建築確認システム」を用いて、業界初となるBIMデータと法適合判定プログラムを活用した建築確認の事前協議を成功させた。
建築確認のデジタル化/BIMデータで事前協議
【新システムの有効性確認】
日本建築センターの協力を得て「BIMデータによる建築確認システム」(新システム)を用いた建築確認の事前協議を実施した。新システムによる手続きの有効性を確認した。BIMのデータと法適合を判定するプログラムを用いて事前協議を行った事例は業界初という。